クレッグの叫び

アニメコラム。調子に乗って、戯れ言をもう一発。

クレッグ・マクラッケン。今日もまた彼の魂の叫びが聞こえる。

パワーパフガールズは極めてテーマ性が強い作品であります。
何回か見ていると、制作者(すなわちクレッグ・マクラッケン)の強いメッセージが聞こえてくるのがよくわかるでしょう。彼が視聴者に伝えたいメッセージとはなにか?その前にこちらをご覧ください。

パワパフの生みの親クレッグ・マクラッケンはこう語っています。

ユートニウム博士のキャラクターには自分自身の姿が見え隠れしているのです。
<中略>
もちろん『パワーパフ ガールズ』は3人とも大好きですよ。なんたって私の子供たちですからね。。
公式サイトより引用

そう、パワパフにおいて、ユートニウムはクレッグその人の分身であったわけです。今更ですか?ええ、今更ですとも。ともあれ、もうわかりましたね、パワーパフガールズのテーマとは・・・・

僕のパワパフは世界一」

ここまで露骨に主張しているアニメは世界でも珍しいです。
小説とかだと「あとがき」とかで「オレの小説はなんて面白いんだ」と恥ずかしげもなくのたまってる方はたくさんいますが、本編の中でここまで主張しているのはめったにいない。逆に「こんなへっぽこ漫画ダレも読まないって」などと自虐的なセリフを聞くことはあったりします。

まあ、自分の作品がダレよりも好きっていう気持ちはよくわかります。みんなそうでしょう。
しかし、作品中においてここまで主張されるといのはなかなかない。これはもう叫びとしか言いようがない。

実際、ユートニウムのセリフがそのままクレッグの叫びになっているんでそれは明白。
もう、ことあるごとに「ああ、なんてかわいらしいんだ」「君たちは最高だよ」と異様なまでに繰り返すこのさまは、キャラクターの親バカという性格を通り越して、視聴者への洗脳レベル。

最初はなんだこの親バカぶりは?と思っていたあなたも、今じゃ「なんてかわいいんだ」とユートニウムと同じ気持ちのはず。ほら洗脳されとる!!

・・・・ま、それはともかく、ユートニウム=クレッグ ってだけでは弱いと思われるだろうから、実際に作品をみてみようか。

初期のころはガールズという作品作りに夢中で、この心の叫びも小さかったようだが、やがてムクムクとこの叫びが立ち上ってゆくさまがわかる。「僕のガールズは世界一・・・」「僕のガールズは世界一・・・」「僕のガールズ・・・」

まず初めは『正義のメイジャーマン!?』あたりでその片鱗がうかがえるか。
制作当初は、従来のスーパーヒーローモノに対するオマージュやパロディ程度の作品のつもりだったんだろうが、これがおそらくクレッグにとって確信にちかいものを得た、というより自分の心の叫びがなんであるか気が付いた瞬間でもあった。
「スーパーヒーローはガールズ!、筋肉マッチョなんてダメ」

で、さらにこれに

『ガールズの主張!』女怪盗ファム・ファタルが「女のスーパーヒーローなんていないじゃない!」とかなんとか言ってブロッサムはワンダーウーマンくらいしか答えれない場面があるが、これって裏を返せば
「女性のスーパーヒーローといえば、僕のガールズ!」
と言っているようなもの。
(※女性のヒーローなんて変な言葉かもしんないけど、ここでは{主役}{英雄}とかの意味あいで使ってます。ヒロインじゃなくて)

まあ、アメコミ通の人なら女性のヒーローなんてけっこういるのはご存じのところ。古くはスーパーガールとかバイオミックジェミーとか、最近じゃウィッチブレイドとかレディ・デスとかSHI-死-とかトゥームレイダーなんてのもそう。X-MENなんていっぱいいるし、ドラマでも(コミックもあります)女子高生のヴァンパイアスレイヤー・バフィーだって大人気だ(例えがややマイナーなのは勘弁)。でも、バットマンやスーパーマンのようなゴールデンエイジからの超大御所・超スーパー級・超メジャークラスともなるとやはり少ないか。
そういう意味も含めると、「僕のガールス」は「超メジャークラス!」って言ってるともいえる。

『ねらわれた3人』において、「僕のガールズ」といった要素が強化!。これはヲタはキモい。といったものではなく、僕のガールズで(;´Д`)ハァハァ すんな!していいのは僕(クレッグ)だけだ!といったメッセージがビンビンに伝わります。

これは、後に『パワーパフガールズたちがいっぱい!?』にも発展していって、ニセモノのガールズに対するあの無情な展開。「お前らは愛がないんじゃ愛が!」「パチモンなんてダメだ!僕のガールズこそ最高!そんな愛の無いガールズなんてこうしてくれる!」といったすさまじい作品。

さて、そんなクレッグの叫びがもっとも顕著に出ているのが『スーパーマン競争』

「世界スーパーマン協会(AWSM)」のスーパーヒーローにあこがれるガールズ。
「私たちも入れるかな」の問いに、ユートニウムは答えるのだが、これがもの凄いほめっぷり。ユートニウムすなわちクレッグの本音大爆発。
「僕のガールズ世界一!」

数々の試験をクリアするものの、「小さな女の子」だからダメってことに。

もうブチキレですよ、ダレが、ユートニウム?いやいやクレッグ・マクラッケンが!
小さな女の子のスーパーヒーローだからいいんじゃろが!ボケ!」

そんなわけでそんなすっごい世界有数のスーパーヒーローたちでもかなわないインベーダーが出現して、ぼっこぼこのケチョンケチョンにされるヒーローたち。世界最高峰のヒーロー達がこれなんだからその強さはマーブルでいうところのオンスロート並ですか!(ま、それはないか)

そんなインベーダーをやっつけるガールズ。これによりパワーパフガールズが、スーパーヒーロー界最強であることが証明された。

AWSMなんて、モロにジャスティス リーグ。自作自演のメイジャーマンなんか目じゃない。もうケンカうってんのかってくらい、

僕のパワパフは世界一」

って話です。

特に「働いているのは誰?」とか質問される所に注目してみたい。
「パパだよ」とガールズは答えるのだが、
普段はプロフェッサー(博士)とか言ってるくせに、なぜかここでは「パパ」。
これはクレッグが自分に向かって言って欲しいセリフ。つうか言わせちょる!

「パパだよ」(うひゃーもう一回言って!)
「パパだよ」(うひゃーうひゃーもう一回言って! 目尻がさがりっぱなし)
「パパだよ」(うひゃー もももももう一回言って! よだれを垂らしながら)
「パパだよ」(うひゃーうひゃうひゃ・・うーん 感動のあまり悶絶)

そんな クレッグ・マクラッケンの姿が容易に想像できるってものだ。

なにしろ、クレッグは、噂ではあちらのBBSで「パワパフのパパ」なんていうハンドルネームでカキコしてたってくらいなんで、彼の溺愛さ加減はハンパじゃないのだ。溺愛というより激愛。「能」風にいうなら淵となりぬ。

どんなクリエイターも自分のキャラを愛していることは確かだが、ここまで、露骨に熱愛を宣言しとる人も珍しい。
その情熱が激しいせいか、彼に感化されて突然父性本能に目覚めた「おっきなお友達」も数知れず。

クレッグ・マクラッケン。今日もまた彼の魂の叫びが聞こえる。

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