ThePowerPuffGirlsとDr.スランプ第3版

「こんなに完璧なアンドロイドを簡単につくってしまうなんて」
「These were the ingredients chosen to create the perfect little girls. 」

パワパフがセーラームーンの影響を受けているとかよく聞きますが、共通点といえば「闘うスーパー少女」ってとこだけ。

そんなものより、もっとよく似ているマンガ・アニメがあるじゃないですか!
その名も有名な「Dr.スランプ」

すでにもうピンときているだろうが、ここはじっくりとその共通点を探ってみようじゃないか。

舞台は架空の町であり、そこは人外の生物やらも普通に生活しているし、モンスターも出没する。

そこに住む独身博士によって作られたすでにある程度成長しているは、スーパーパワーを持っている。その娘は一般人と混じって普通に学校に通い、担任は独身女性の先生。

宿命のライバルは天才科学者で、いつもいろいろと悪巧みをするがやられてしまう。ついには対抗するために同じ能力をもつ少年を作り出す。

どうですか、基本プロットだけでもこんなに似ている。
まあ、似てるとこだけを取捨選択して誘導する一種のロジックトリックを使ってはいるんですが、それで共通点が多いことはわかっていただけるでしょう。

ほかにも、スーパーヒーローのパロディみたいなキャラクターがいたり、警察とけっこう顔見知りだったり、なにかにつけて町をぶっ壊してるとこも。物語やキャラクターもパロディにあふれてるとこなんかもそうですね。

違いといえば、一人と三人てとこですが、確かにアラレちゃんは一人ですが、ガッちゃんを含めるのなら三人になりますし。(※ガッちゃんは最初は一人だったが途中から分裂して二人になった)
まあ、ここでガッちゃんを入れるのはちょっと強引かもしれませんが、一応「博士」の家族の一員ってことだし、なによりやはりガッちゃんもスーパーパワーを持ってますしね。

最大の違いといえば、スーパーパワーで町を守るというポリシーがあるか無いかでしょう。
さすがにアラレちゃんにそれを期待するのは・・・・

とはいえ、セーラームーンよりはるかにDr.スランプのほうが構造は近いのである。
なぜなら、セーラームーンらは日本の戦隊モノ、というより日本のヒーローモノのパターンに近い敵対構造をしているのに比べ、パワパフやDr.スランプはアメリカヒーローモノの敵対構造を持っているからです。
この「日本型ヒーロー敵対構造」「アメリカ型ヒーロー敵対構造」というものを説明しましょう。
日本型というのは、敵は「組織」をもっていて、いわゆる「悪の組織」というものが敵となります。そしてその組織から「敵」がやってきては倒し、やってきては倒し、中ボスを倒し、最後に大ボスと対決というパターンとなります。  いわば『組織 vs 個人』の構図
(もちろん、日本の正義の味方も組織をもつものもあるが、どう見ても小規模。個といってもいいだろう)

一方、アメリカ型は、コレとは違い多くの場合 『個 vs 個 』の敵対構造になります。敵はインベーダーだったり、犯罪者だったり、モンスターだったりと様々ですが、彼らは別に同じ組織のメンバーというわけではありません。時には共闘もしますが、基本的には己自身の欲望や衝動によって暴れるのです。
これは言うまでもなく、パワパフも同じで、モジョやカレやプリンセスなどはそれぞれが勝手に暴れているのであって、中ボスでも戦闘員でもありません。
Dr.スランプはというと、まあ戦闘モノの話じゃないんでなんなんですが、個別対応ってことでアメリカ型に近いといえよう。強引といえば強引ですが。

より分かりやすいように、比較表を作ってみた。

PowerPuffGirls Dr.スランプ コメント
舞台 タウンズビル ペンギン村

共通点:
共に架空の町。基本的に物語はこの町で繰り広げられる。

相違点:
ペンギン村はタウンズビルに比べると「村」というだけあって、かなりローカル。また、タウンズビルは架空とはいえ、アメリカであることは間違いないだろうが、ペンギン村はかなり無国籍。ただし、どっちかというと日本の田舎。

主人公 ブロッサム
バブルス
バターカップ
則巻アラレ

共通点:
天才科学者によって作られた人造娘。スーパーパワーをもっている。パンチやキックといった肉弾攻撃を主とするが、飛び道具もある。(ガールズ:目からビーム アラレ:んちゃ砲)

また、回が進むにつれ頭身が短くなる(笑)

相違点:
ガールズは5歳。アラレは13歳という設定だが、精神年齢は同じとみてもいいだろう。
また、ガールズは三人だがアラレは一人である。(ガッちゃんを入れれば三人だが、これはやや強引)
スーパーパワーの使い道を自覚しているガールズにくらべ、アラレは無自覚。
パワーはイイ勝負かもしれないが、アラレは空を飛ぶことができない。ただし、マッハで地上を走ることができるので、スピードではあながち負けてはいない。

さらに、ガールズがスーパーガールであることは周知の事実だが、アラレがアンドロイドであることを知るものは少ない。

博士 ユートニウム 則巻千兵衛

共通点:
専攻がなんであるかは不明だが、人造少女を作り出す独身の天才科学者。性格にはやや問題あるものの、人造娘の親がわりとしてしっかりと世話をする。自宅は町の郊外の一軒家(ともに二階建で研究施設あり)。その後も数々の発明をする。

相違点:
どちらも博士と呼ばれるが、正確には千兵衛さんはドクター、ユートニウムはプロフェッサー。

体型:千兵衛さんは太めだが、ユートニウムは細め。

発明品1 タイムポータル
(タイムマシン)
『GET BACK JOJO/邦題バック・トゥ・1959』
タイムスリッパー
(タイムくん+つるつる板)

共通点:
天才科学者が発明した時間を移動できる機械。

相違点:
タイムポータル簡易タイムトンネルのようなもので、あくまで時間をつなげるだけの機械だが、タイムくんは自立型のAIを備えたロボットナビゲータ付き。こちらのほうが優秀か。

発明品2

マイクロアナライザー
『NANO OF THE NORTH/邦題ちっちゃくなあれ』
チビデカ光線銃

共通点:
天才科学者が発明したサイズを小さくすることができる機械。

相違点:
チビデカ光線銃はポータブルサイズ。

発明品3 スーパー博士(強化服)
『POWER PROF/邦題スーパー博士、空をとぶ!!』
スーパーセンちゃん

共通点:
天才科学者自身にスーパーパワーをもたせる強化機械。

相違点:
ユートニウムのは強化服だが、千兵衛さんのは遠隔操作のアンドロイド。

2号機 バニー
(ガールズの妹)
アキコさん
(メイドロボ)

共通点:
人造少女の2号機。初号機と比べると容姿は劣る。ともに名前の頭文字が同じになっている。また、結局いなくなる。

相違点:
バニーはガールズが制作。
アキコさんは博士が制作。

先生 ミス キーン 山吹みどり

共通点:
少女が通う学校の担任。独身女教師。
終盤、みどりさんも幼稚園の先生に。

相違点:
山吹先生がかなりフェロモン系のおっとり天然ボケタイプに比べ、キーン先生はちょっとそっけないか。ファッションも地味。

学校 ポーキーオークス幼稚園 ペンギン村村立中学園
(後にペンギン村高学園)

共通点:
少女が通う学校

相違点:
ガールズは幼稚園だが、アラレは中学校(後に高校にあがる)である。しかしペンギン村村立中学園は幼稚園レベルともいえる。

宿敵 モジョジョジョ Dr.マシリト

共通点:
宿命のライバル。天才科学者・発明家。様々な発明をして主人公らを苦しめる。

相違点:
モジョはミュータントサルでマシリトは人間。だが、マシリトは後にサイボーグ化するため、同様に人外のものフリークともいえなくない。

宿敵2 ラウディラフボーイズ オボッチャマン
(キャラメルマン4号)

共通点:
主人公と同じスーパーパワーを持つ、少年型人造生命体。宿敵の天才科学者によって作られた。人造少女ラブ攻撃に弱い。

相違点:
もっとも大きな違いはその性格にある。
無法なボーイズに比べ、オボッチャマンはまじめな紳士。
また、 ボーイズは一話かぎりで消えたが、オボッチャマンはその後もレギュラーとして定着し、結果として敵から仲間になる。

お隣さん スミス家 摘(ツン)家

共通点:
主人公の家のお隣さん。家族構成は父・母・息子・娘の四人家族。一家の主人はメガネをかけている。

相違点:
摘家は友好的だが、スミス家は対立?。

その他

トーキングドック(パピー)

ペンギン村の住民 動物だけどしゃべります
メイジャーマン スッパマン スパーヒーローのパロディ
アメーバーボーイズ ニコちゃん大王

人外ダメ生物。複数(トリオ、ペア)で行動する。

ダメっぷりがけっこう似てるような気がするんだが、ちょっと強引か。

シティズビル 大都会島 大都会
プリンセス 皿田きのこ

主人公にライバル心があり、プライドが高い。

さすがにコレは無理がありすぎるか。

※本来主人公は「Dr.スランプ」こと則巻千兵衛なのだが、シリーズが進むにつれ実質的主人公となったアラレにしておいても、まあ間違いというほどでもないだろう。アニメではアラレが主人公として描かれていたし。(アニメのタイトルは『Dr.スランプ アラレちゃん』)

そういえば、バブルスはグリグリメガネをつけたこもあったなあ!(一回きりだったけどね)
こうしてみると、アラレはA(後のメイドロボアキコさんもA)でガールズはBであることも興味深い。

これだけ共通点をもちながら、なぜ「似てる」といった声がないのか不思議なくらいだ。

ではなぜ、あまり似ているという印象がないのか、逆に相違点を考えて検証してみよう。

すでに述べたように、スーパーパワーの使い道。ガールズはスーパーヒーローとして自覚して、町を守る役目があると自認しているが、アラレにはまったくない。例外的にスッパマンと「地球防衛隊」を組んだこともあるが、場当たり的なもので、当然アラレにはその自覚はないだろう。

そもそも、目指しているモノが違うのだから印象が違うのはあたりまえだ。改めてガールズが「スーパーヒーローモノ」の変形であることが実感できる。そしてアメリカンアニメであることも。ユートニウムを含め、そこには直接的ではないものの「家族」に対するアメリカ的家族愛が読みとれる部分があるが、Dr.スランプにはまるでない。

また、あかねやタロウのような特定の友人といったものはパワパフにはいない。エルマーやロビンといったクラスメートはいるが、あかねちゃんらのような役割にはとうていなっていない。

逆にパワパフにあってDr.スランプにないキャラクターといえば、なんといっても市長だろう。
パワパフにおいて市長が重要な役わりを演じていることは言うまでもないが、一方、ペンギン村にはその役割をになうような人物(重要度)はおらず、たまに出てくるのはペンギン村村立中学園園長くらいなものだ。(まあ、どちらもアホだが)

シティズビルがあるとはいえ、やはり風景としてビルが建ち並ぶタウンズビルは都会的で現代的でクール。山だらけの風景のペンギン村は一部にアメリカ的建造物があるものの、日本的田舎で郷愁的で牧歌的。

特にこの舞台設定の違いが印象を大きく変えている要因ではないかと推測する。
後のドラゴンボールが話しが進むにつれバトル中心となると、かつての無国籍的世界はどこへやら、妙に現代的都会的世界に変貌していくのが興味深い。


ともあれ、設定が似ていても、印象が違えばなかなか結びつかないものなのかなあということ。
だれか、機会があったらグレッグさんに聞いてみて欲しいものだ。
「Dr.スランプというアニメを知っていますか?」って。
セーラームーンよりはるかに似ているんだからさ!

でも、Dr.スランプから影響をうけたってことはないだろうな、きっと。
しかし、今後キーン先生とユートニウム博士が結婚したら・・・もしや?!って思うかも(笑)

参考:Robot Meme DataBaseより則巻アラレ


第2版改訂コメント:
テキトウに作っただけだったが、けっこう反響があったのでもうちょっとまじめに調べてみると、いろいろ間違っていたので若干修正した。特に、初期版では、ユートニウム博士はあんまし発明していないと言っていたが、改めて検証してみるとけっこう発明していた。
タイムポータルを初め、強化服、ペットの「ビーボー」、マイクロアナライザー、バーチャル戦闘室なんてのもそうだろう。ダイナモの印象がえらい強かったので・・・すまんプロフェッサー、やっぱり君は優秀なマッドサイエンティストだ。
第3版改訂コメント:
第3版ではドクタースランプのほうを強化的に調査。ドラゴンボールよりこのときの絵柄のほうがスキかも。初期のアラレはホントに美少女でびっくりした。頭身も高く、セリフも「はかせ、おはようございます」とか言ってるし。ユートニウムもそうだが、センベエさんもいったい何の目的アラレをつくったのやら、ちょっと問いつめてみたくなる。
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