口は目ほどにものを言う

日本のアニメーションとアメリカのアニメーションの違いを、ちょっと違った視点で考える。

前からアニメのパワパフを見ると思ってたことがありました。

それは口の動き。

これがまた、非常に細かい。というか、セリフ(英語版)と妙にマッチしてるんですね。
まあ、カートゥーン通の人はすでにご存じかとは思いますが、特にガールズの場合、顔が大きく変形しないのでよりわかりやすいかと。

たとえば、ちょっと拾ってみただけでも

ブロッサムご苦労様でした。

 

日本のアニメじゃここまでやんないです(笑)

パワパフビデオやDVDがある方はぜひスロー(もしくはコマ送り)再生を!

これはパワパフに限ったことではなく、デクスターやジャックでも発見できます。もちろんカートゥーンネットワーク以外でも同様で、例えばシンプソンズでも、やはり舌がまいてたりします。アチラのアニメ全般にいえることなんです。なんかしらんが、妙に唇の動きにこだわるんですよね。もちろんすべてとはいいませんが、日本のアニメでは、そんな表現はまず見ません。

私が特にこのリップシンクロが気になりだしたのはカートゥーンを見てからではなく、むしろ海外のBBSかなんかで、「ここが変だよ日本のアニメ」みたいな読んだときからでしょうか。(どこかは忘れました)

「髪の色が赤とか青とか緑てのはなんじゃ?」
「主人公がいつもハーレム状態(複数の女性に好かれてる)」
「とにかくメカばかり出してる。ロボットである必然性がない」
「人種に幅がない」

うろ覚えなんで、適当ですが。まあ、こんなこといってたような記憶が。
(人種うんぬんはともかく)日本人がみても苦笑しつつ納得するつっこみとかあるんですが、(まあ、ちょっと見てる作品かたよってるんじゃないかとも思ったが)その中に・・・

「しゃべってるのに、アゴがうごかない」

なんてのがありまして、ん?と思ったわけです。
よーするに、口パクじゃ納得しない人がいるわけで、そして改めてみるとアチラのアニメって口がよく動くと。動くだけじゃなく、妙にこだわってると。

なぜか?

この話題の時に出てくる回答ってのはたいがい決まっていて、それはアニメの製作過程の違い。
日本ではできあがったモノに声優さんが声をあててゆくが、
アチラでは、先に声を入れてそれに合わせてアニメを作ってゆくらしい。
実際の現場を見たわけではないので、具体的な進行がどうだとか、すべてがそうだとかはわからないが、よく言われる話です。ゆえに、アニメの口の動きが、実際の口の動きとシンクロしてると。

しかし、それでは今ひとつ納得できないんですよ。では何故そんな方法をとるのか。そうだとしても、わざわざ合わせる必要があるのはどうしてなのか?

これはもう、はなからリップシンクロそのものにこだわりがあるからとしか思えない。

なぜこだわるかというと、言語の違いによるものってのが通説。
読唇術とかあるけど、あれが通用するのは英語で、日本語はまるでだめなんて聞くし。英語とかは母音が多く、ほんとに唇を読むことによってある程度わかるらしいんですよね。だから視覚的に連動してないと違和感を感じるのかもしれない。日本語はその点、あんま関係ないので、口が「開く」「閉じる」だけで「しゃべり」を記号化できるし、それで日本人はナニも感じないと。

このリップシンクロへのこだわりってのは、そのへんを注意深く頭においてアチラのアニメとか見てるといろいろ気が付くことが多いんです。

スーパーヒーロー・クロニクルDVD」を見てると古い「キャプテンアメリカ」のアニメがあるんですが、これが、アクションシーンなんか紙芝居かと思うくらいまったく動いてない。しかし、喋る唇だけが、もうベラベラと動く!もう、力の入れる場所が違うんじゃないかと!そこ動かすんだったら違うとこ動かせと!まあ、そんな感じだし。

とどめは、まさにこれこそリップシンクロこだわりの一品というか、それしかないというか、口だけ実写の伝説のトラウマアニメ「クラッチカーゴ」でしょう。

主人公のクラッチにガキと犬がついて冒険するっていうどっかで聞いたような内容なんですが、アニメの口だけが実写なんですよ。これが激しくキモい。

こんなの多分日本じゃ、そんな発想すら思いつきませんよ。もし思いついても、絶対実現まではいかない。なによりそんなことに対する情熱がまったくないでしょうな、日本の場合。

さらに最近では「親指ウォーズ(親指スターウォーズ)」とか「親指タイタニック」とかがその系統かもしれませんね。口実写。
日本ではこの二本が有名ですが、じつはこんなにある親指シリーズ。
親指ゴッドファーザー」「親指フランケン」「親指バットサム」「親指ブレアサム
まあ、前者二本以外のものってのは監督が違うんで、前者がヒットしたことにあやかって作られたどーしようもないものだと思うけどね。

とりあえず、親指シリーズはともかくとしても、アメリカ人にとって、
アニメーションの命とは唇の動きにほかならない!

・・・・かどうかはわかりませんが(笑)、そのあたり注目してみるとまた違った洋アニメの魅力が感じられるってお話でした。


おまけ:
ここで紹介した「クラッチカーゴ」が気になる方はこちらへどうぞ>クラッチカーゴ資料館

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