SAMURAI JACK SPECIAL

cover
SEP'02 (全55P)
stuff
Writer Genndy Tartakovsky
Pencillers Lynn Naylor & Bill Wray
Inkers Bill Wray & Mike Manley
Letterer Jenna Garcia
Colorist Zylonol
cover Art 不明 price $3.95

コミックレビュー番外編
サムライジャック、コミックに見参。

 


「人呼んで、ジャックと申す」「・・・・・ユートニウムではない」

簡単な紹介

パワパフファンならいまさら紹介するまでもないとおもうけど、パワパフしか目に入ってないってな人もいるだろうから、簡単に紹介。

「サムライジャック」とは「デクスターズ・ラボ」や「パワーパフガールズ」を手掛けたゲンディ・タルタコフスキーが、特にデクスターの成功によって「キミの好きなモン作っていいよ」って言われて「オレはこれが創りたかったんじゃ〜」とばかりに創った作品。デクスターとか見てもわかるようにタルタコフスキーさんは日本好き。しかも黒沢や岡本喜八(イイ趣味してます)が大好きでああいうのに憧れていたそうなんですよ。

でもって、サムライが主人公なんですが、物語の舞台は未来世界なので、東洋系というよりは無国籍的・多国籍的バトルファンタジーといった感じです。
特にグラフィックがすばらしく、デクスターやパワパフのあの感じをより進化させた感じのものなんですが、あの絵でこんな情感を魅せることができるものかと感嘆しまくり。
さらに、マンガでいうところのコマを割るような、分割画面効果があったりと、視覚的にも見所が多い。

ヒーロー系なんだろうけど、ありがちなマッチョではなく「寡黙」で「なで肩」ってのも珍しいかな。前半はアクションがちょっとテンポ悪くスピーディーさがないかな?と思っていたんですが、回を増すごとに良くなってきて、後半はタレることなく楽しめます。

現在CARTOON NETWORKで放映中


サムライジャック ザ コミック

さて、アニメの話はこのくらいにしてコミックの話。

このコミックはパワパフと同じDCからCARTOON NETWORKのコミカライズとして刊行されたもの。ただし、まだシリーズ化はされておらず、単発のコミックとなっている。
内容は TVシリーズの1〜3のエピソードをまとめたもの。と言っても、もともとこの三話はこれまとめて「第一話」といった形で作られているので、流れ的にはまとまっている。
というわけで、ストーリーはアニメといっしょなんで省略。・・と思ったけど、やっぱり見たことない人も多いだろうってことで、一応紹介しとこう。

魔王「アクゥ」がとある国(日本のような国(笑))で復活し、かつてアクゥを封印した家系である大名家は防戦するが敗退。息子のジャックをかろうじて逃がして、滅亡する。少年は世界を放浪し、各地の武術をマスターし、アクゥを倒す力をもった刀を手に、立派なサムライとして成長して帰ってくる。

「嘆きの将軍」アクゥと戦い、後少しで勝利というところでアクゥマジックにより未来世界にとばされてしまう。未来はアクゥに支配された世界だった。

未来世界で初めて会ったヒップホップな若者らに「hey,jack(よー、にいちゃんよー)」と呼びかけられたことをきっかけに、サムライはこの世界では「ジャック」と名乗ることとした。(本名不明)

右も左もわからぬ状態のジャックは、とりあえず近場のディスコ(酒場かな?)に入る。そこでチンピラに絡まれ、大乱闘。それを見ていた犬型人種の「ロシー」ら三人に用心棒として雇われ、彼らがアクゥに迫害されている採掘場におもむく。しかし、スパイの報告によりジャック復活を知ったアクゥは、ジャック討伐に虫型ロボ軍団を差し向けたのだった。

たった一人でアクゥの軍団と対峙するジャック。壮絶な戦いがいま始まる。

 

とまあ、これがエピソード1〜3にあたるわけです。
アニメではこのエピソードを皮切りに、途中アクゥの手下及びアクゥみずからと闘いながら、もとの世界へ戻る方法を探して世界を放浪してゆくんですよ。アニメでは特にエピソード10と11がスキですね。カッコいいんだこれが。

ジャック、やっぱり間違った日本観で描かれてるんですが(特に建物関係)、精神はキッチリ「武士道」。そこがポイント。実はコミックはアニメ以上に日本的というかモノスゴイことになってるんですよ、あーた。
とりあえず、モノスゴイことは後で語るとして、コミックですが、良くできてます。

内容がアニメ三話分なんで(パワパフの映画版並)ページも55ページとこの手のリーフとしてはけっこうな分量となっていて読み応えがある。(まあ、値段も$3.95とそれなりですが)

ペンシラーは二人が描いていて、Lynn NaylorBill Wray。このうちBill Wrayはインカーもかねているので、おそらく前半部をペンシラーLynn Naylo、インカーMike Manleyが描き、後半部をBill Wrayさん一人で描いたんじゃないかと思う。
なんでそう思うかというと後半部のタッチは際だってモノスゴイことになっているから。

アニメでは日本的といいながら、その映像表現はあのパワパフのようなカートゥーンの絵柄で表現してるわけですよ、でもコミックは前半部はアニメ的なタッチを生かしているんですが、後半部は別の意味での日本的表現に挑戦しとるんですわ、これが。

漫画的というより劇画的!!

いわゆるジャパニメーション的アニメ絵のアメコミはマンガスタイルって言われて意外に多いんですが、それとは違うこんなタッチのアメコミは(私の数少ないアメコミ知識の中では)初めて。

また、ところどころにスクリーントーンが使われていて、コミック自体はフルカラーなもののこの作者(ペンシラー)さんが白黒での完成形を目指していたのがよくわかる。個人的には後半部はむしろ白黒のほうがよかったのではないかと思うよ。

 

 

論より証拠。この表現が極まったクライマックスのシーンを見よ。


クリックすると拡大


口の中に斜線!!!!!!!!
これは本宮ヒロシが発明した「漫画」的表現。サラリーマン金太郎並の絶叫!

さらにその後に続く、ぶった切りシーンはもはやアメコミではない。デビルマンかベルセルクか白土三平か!

もうこんなんですよ。どーするよ。

アニメ版とは違った迫力で楽しませてくれる、コミック版「サムライジャック」オススメ。

おまけ:
ペンシラーの絵が白黒ですでに完成していて、そっちのほうがカッコイイということの実験。
上記の画像から色を抜いてみた。>見る


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