アメコミ基礎知識

アメコミと聞いてまっさきに想像するのは「バットマン」とか「スーパーマン」とかのマッチョなスーパーヒーローがBAGOooooM!とか言った感じに活躍するアレですね。
で、もうほとんどそれで正解です。もちろん、アメリカの漫画って意味なんで、日本の漫画と同じくいろんな種類やジャンルや形態があるんですが、大半がこのスーパーヒーローもの。
なぜかっちゅうと、アメコミの出版のほとんどがDCとMARVELの二大コミック出版社
でしめられており、この二つがこのジャンルに特化しているからです。
というわけで、この大手のやり方がアメコミのスタンダードなので、日本の漫画との違いをふまえながら説明します

発行形態

薄い平綴じの冊子で、月刊、B5サイズ、フルカラー、ページ数は20P前後(広告を除く)
日本の漫画雑誌と単行本の中間みたいなものでしょうか。

はやいはなし、日本のコミック誌に連載されている1話(1タイトル)のみが毎月刊行されているようなもの。だから、本の中に広告が入ります。
これがけっこうクセモノで、1タイトルしかないものだから、コミックの途中に分断する形で広告がはいります。TVCMのみたいなノリなんだろうけど、かなりうっとうしい! なんとかならんものかな。

値段は$2〜といった感じで、若干ばらつきがある。(マイナーなほど高かったりする罠)。
パワパフは 約$2。

フルカラーとはいえ、日本の漫画誌と比べると割高感がある。1タイトルしかないし、しかも数ページだし。日本の漫画誌とボリュームがヒトケタ違う。

また、雑誌と同じような発行形態なので、一度刊行されたらそれっきりで、増刷(再販)はありません。
ごくまれに、ものすご〜く人気があったモノが再販されることがあるらしいですが・・・ほんとにまれです。ゆえに、レアなコミックはマニア市場では高値が付きます。

以上の形態を通称「リーフ」と呼びます。ただし、この言い方はどうも日本独自の用語らしいのですが、アメコミ専門店ではこれで話が通じるので便宜上このサイトでもリーフと呼びます。
海外ではこのままCOMICやCOMIC BOOKと呼ばれるようです。COMICは雑誌であって、「本」ではないので、普通の書店に置かれることはまれです。

TPB
一応、日本の漫画単行本にあたるものとして、TPB(トレードペーパーバック)もしくはTBという過去の何話かをまとめた形態のものがあります。(グラフィックノベルとかいうこともあるけど、厳密には違うみたい。つうかよくわからん)

かつては「特集増刊号」みたいなもので、必ずしもストーリーの第一話から順番に始まるわけではなく、なんらかのテーマにそってまとめられるのが一般的でした。(エピソードとかアーチストとか)

ただ、最近はきちんと定期的にTPB化される傾向が強く、日本の漫画単行本と同じようなものと認識していいかもしれません。ただ、日本のような頻度で合本されるわけでもなく、いつまでたってもまとまらないってのも多いです。そのため、マニアはやはりリーフで追っかけていたりするんですね。サイズもリーフと同じことが多く、それもあってか、お値段もそれなり。

最近は日本の漫画文化を参考・研究しているようで、より安く小さくなったTPBが増えてきています。パワパフのTPBも小さいサイズのTPBです。

コミック界では「TPB=単行本」の意味で使われていますが、もともとは本のサイズのことを意味していたようです。アメリカの小説などの廉価版のものはペーパーバックと呼ばれ、そのちょい大きくややグレードが上のサイズのものをトレードペーパーバックと呼ぶことも。そのトレードペーパーバックのサイズが、ちょうどかつてのアメコミ合本と同じだったので、そう呼ぶ慣習がついたとも言われています。
だから今の小型TPBはむしろペーパーバックサイズなので、ペーパーバックって呼んでもいいかと思うのですが、やはり慣習がありますので、TPBと呼ばれるようですね。

TPBになると、「書籍」扱いになるらしく、普通の書店でも置いてくれるようになります。それもあってか、最近は積極的に合本化しているようです。

制作形態と版権

なんといっても特徴的なのは、コミック制作における分業システム。
日本の場合、たとえば「ドラゴンボール」なら「鳥山明」と明快ですが、アメコミの場合、脚本、作画、着色など専門分野にわかれていて、かつ同じタイトルでも作者(制作者)がバラバラです。タイトル(およびキャラクター・世界観)の版権は出版社がもってり、そのつど作家を編成して、いくつもの作品を生みだしています。
例えて言うなら、原作・梶原一輝、漫画・ちばてつやの「ドラゴンボール」があってもおかしくないのがアメコミの世界。
映画みたいな作り方だと思って間違いないでしょう。
映画のタイトルの版権はプロデューサーがもっていて、脚本家、監督、カメラマン、編集、特殊技術、音響、などのスタッフを集めて制作するのと同じようなこと。映画に関しては日本も同じように分業なんですが、やはり日本の漫画のように「作家性」が強いのか、シリーズものでもそのたびに監督が替わるなんてことはめったにないけど、アメリカじゃよくあることだよね。
話がそれたけれども、そういうわけで、アメコミの場合、「うひゃーこのバットマンかっこいい〜!」と喜んで次を買ってみたら、絵柄も話も全然違ってたりしてガックリすることもしばしば。

また、そんな扱いだものだから、ヒーローの共演なんてのも可能。スーパーマンとバットマンが共に戦ったり、対決したりする。昔は世界観もそれぞれに独立していたけど、最近は統合され、あちらでは違和感ないものとしてできあがっているそうです。(その世界を○○ユニバースとか呼んでたりします)X-MENみたいにキャラクターが多いタイトルなんかは、人気キャラクターごとにシリーズがあったり、チーム編成を組み替えて独立したり、世代交代でメンバーが入れ替わってたりとやりたいほうだい。そこがアメコミの面白いところなんても言われてますが・・・
日本でいったら、ケンシロウとキン肉マンがが戦ったり、ピッコロ大魔王が主人公のシリーズが(全然別の作家で)あったりするようなことですかね。

サブキャラが独立したものはともかく、他の作品のヒーローが一緒に闘ったりすることを、一般に「クロスオーバー」と呼んでいます。(大甲子園とかバイオレンスジャックとか、スーパーロボット大戦とかが出版社単位で平気でおこなわれているようなものです)


例えば、これはウルヴァリン、ゴーストライダー、スパイダーマン、超人ハルクが共演してるけど、コミックのタイトルは「ファンタジック・フォー」(右のねーちゃんがそれ)

ただ、それゆえ他の出版社のヒーロー同士は基本的に混じり合うことはありません。スパイダーマン(MARVEL)とバットマン(DC)が出会うことはないのです。

・・・・・・と言いたいとこなんですが、時折出版社を越えたクロスオーバーをおこなったりすることもあるから、アメコミは侮れない・・・

 

制作分業

その分業がどういう感じにわけれれているかというと、

ライター(WRITER)

日本でいうところの漫画原作者。脚本。

ペンシラー(PENCILER)

日本でいうところの漫画家。作画担当。ただし、名からわかるように、鉛筆による下書きのみです。下書き作家、といよりは原画家とでもいうのがしっくりくるか。
人気ある人はけっこうひっぱりだこみたいです。
絵でアメコミを買うなら、これをチェックしとくべし。

インカー(INKER)

ペンシラーが描いた原画にペン入れする人。クセの強いペンシラーだと原画からずいぶん変わっちゃうなんて話も。

カラリスト(COLORIST)

アメコミは基本的にフルカラーなんで、色塗りの専門家がいるわけです。最近はデジタル着彩が一般的になったようです。ちょい前には、DIGITALCOLORISTとかクレジットしている出版社とかもありました。

レタラー(LETTERER)

アメコミでもっとも特徴的なのはこの人。文字を描く人。
かつては、アメコミってセリフの文字は、手書きだったんですが、最近はパソコンによるフォントを使ってることが多いです。以前の手書きとの違和感をなくすせいか、手書き風フォントを使用していることが多いですが、最近はあまりこだわらなって、多彩なフォントを使っている傾向も。
それから、アメコミの文字はなぜか大文字ばかりなんですが、これは伝統なんでしょうなあ。
理由としては、小文字だと狭いフキダシに文字を詰めた場合、ベースラインが揃わなくてパラパラして見えるからとか、昔は印刷技術が悪くて小文字だとかすれちゃったりしたから、ともといわれていますが定かではありません。
一部では普通に大文字小文字のコミックもあることはあります。個人的にはそのほうが読みやすいんだけどなあ。

アーチスト(ARTIST)

ただ、中には日本と同じように、下書きとペン入れを両方やる人もいて、そういう場合はこう呼ぶみたいです。(ただし、コミックによっては表現が違うこともあります)日本の漫画家はペンシラーではなくこっちでしょう。
パワーパフガールズではフィル・モイがそうですね。

広義には制作に関わった作家をこう呼ぶ場合もあります。

エディター(EDITOR)

編集者なんですが、日本と違ってクレジットされることが多いです。どの程度制作に関与しているかはわかりませんが、制作の主導権を出版社が握っているのできっと日本以上に重要なんでしょう(たぶん・・・・)
これに、アシスタント(ASSISTANT)とかチーフ(CHIEF)とかつくこともあります。


それから、タイトルカバーを描いてる人が中のコミックとは全然別の人ってこともよくあります。

カバーに惹かれて買ったら (´・ω・`) ショボーン てことも。

その他のアメコミ

言うまでもないことかもしれないけれど、上記のものはあくまで基本。

出版社もほかに、SPAWNの「IMAGE」などもあり、こちらは作家性が強く、版権は作者がもっています。 あとはHELLBOYの「DARK HORSE」とか。
DCやマーブルが大勢を占めているとはいえ、出版社自体はこれら以外にも山ほどあります。

もちろん、日本のように、モノクロの作品もあれば、ストーリー作画全部一人でやってる人もいるし、ヒーローモノ以外の作品もたくさんある。ロマンス・学園もの、ファンタジー・SFもの、戦場もの、西部劇もの、怪奇モノ、動物もの(?)、ギャグ、いろいろ。日本の漫画によく似たタッチのものも最近は多い。サイズもいろいろ。

特に近年にいたっては、アメコミも大きく様変わりしていて、いわゆる上記のような「アメコミ」のイメージは変わってきています。形態にしてもジャンルにしても。・・・ま、でもスーパーヒーローものが大多数なのは確かだけどね。

まあ、もっと詳しく知りたい人(もしくはもっと正確に…)はまっとうなアメコミサイトへいって勉強したほうが身のためかと。

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